先生のビー玉
軽く両親に挨拶をすませると、部屋に先に行かせ、お茶とお菓子を持って部屋に向かう。
中に入ると、

「佳奈のベットって気持ちいいのよねぇ」

毎回のことながら、ベッドに寝転がって手足をバタバタとさせている。

「近くまでってさ、何かあったの?」

佳奈が言うと、

「別に。
あのさ、初詣…田村と一緒に行かないの?」

と貴子。

「行きたいんだけどさ、無理でしょ?
誰と鉢合わせするかもしれないんだしさ」

「あれから二人で会った?」

首を振る佳奈。

「うっそっ」

驚いている貴子。

「毎晩メールと電話では話してるよ」

と佳奈は言うが…

「意外と大変なのね。
教師と生徒が付き合うってさ」

目の前にあるお菓子をほおばりながら貴子。

「でもね、田村先生と毎晩話したり、メールしたりするって信じられなくってね。
あぁ、付き合ってるんだなぁって実感するよ。
あの先生が、今終わった~とかメールくれるんだから」

「…信じられない」

佳奈の言葉に絶句する貴子。

「…まぁね。
でもさ、小さなことでも幸せだよ。
初詣に行けなくってもさ、会えなくってもさ、もう1週間待てば学校だし」

「前向きね」

「じゃないとやってらんないよ」

その佳奈の一言に大きく頷く貴子だった。

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