先生のビー玉
車中では、今日あった出来事。
仕事のことなどいろいろと聞いた。

例えば…

池田が眠りかぶっていて主任に怒鳴られた…とか。
孝枝先生にいつものように冷やかされる…とか。

「先生たちって…毎日何やってんですか?」

と聞いてしまったほどである。

「何って…仕事だよ」

笑いながらそれに答える彼。
こんな感じで会話も弾む。

「で、先生、どこに向かってるんですか?
どんどん町中に向かってますけど…
大丈夫ですか?」

不安になって聞く佳奈。
当然だ。
教師と生徒が一緒にいるってだけで犯罪になる今日この頃。
すると、

「ん?
俺の姉の店。
あそこは、隠れ家みたいになってるから大丈夫だよ。
駐車場もぱっと見わからないところにあるから」

「先生のお姉さん、お店されてるんですか?」

「そう、嫁ぎ先がたまたま料理屋だったってだけ」

「はぁ…」

「ま、うるさい姉だけど、味方になってくれるからな…っと、到着だ」

「ここ…駐車場ですか?」

「そう。わかりにくいだろ?」

ビルとビルの間にある5台ほど駐車できる狭いスペースで、入口はすぐそこにある。
なんとなく納得できた。
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