先生のビー玉
「今、風呂の準備をしてきたから先に入ると良いよ」

と一言。

風呂

という言葉に動揺していると…

「ん?なんなら一緒に入るか?」

「い、いえっ、は、はいってきますっ」

あわてて案内された風呂に走ると彼の笑い声が聞こえてきた。

「き、緊張するよね…」

湯船に浸かりながら呟く佳奈。
彼が声をかけてくれなかったら…
きっと、絶対に茹れていたはずだ。

風呂からあがり、貴子が準備した下着を取り出す…

「どうして…黒?」

いつだっただろうか…
貴子が誕生日プレゼントでくれたもので、絶対につけないだろうと思っていた下着だ。

それを付けて鏡の前に立つ。

「に、似合わない…」

だが、これしかもってきていない。
仕方がないのだ。
パジャマに着替えて髪を乾かし、リビングでテレビを見ている彼の所へ行く。

「先生、これ…借ります」

「ん?」

「先生?」

「あ、あぁ、いいぞ」

片手にハンドタオルを持った佳奈を見て…
彼は挙動不審になっている。

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