先生のビー玉
「き、着替えてくるね」

彼から体が離れるとバッグを持って寝室へ走る佳奈。
そんな彼女を見て…

「俺、犯罪者みてぇ…」

セーブが効かない自分の行動に赤面するのだった。
しばらくして佳奈がでてきたが…

「照れてる?」

頷く佳奈に、

「そんなんじゃ、いつまでたっても慣れないよ~」

笑いながら言う彼だった。

そして食事。
自動車学校での車の運転の話や、彼が自動車学校に通っていた話などを聞きながら食べていると、あっという間に全部平らげてしまった。

それから後片付けをし、風呂をすませ、ソファに座ってコーヒーを飲んでいると、

「なにか話があったんだろ?」

と彼が言った。
それに頷き、一呼吸して話し始める佳奈。

「あのね、自動車学校に彼がいた」

「彼?」

「ほら、滝川…下の名前忘れた」

佳奈が言うと、カップを持つ彼の手が…止まった。
そんな彼を見て…

「あ、あのね、と、とりあえず言ったほうが良いかなぁって思ったりして…
えっと…」

あたふたする佳奈。
すると、

「心配事が増えた…
でも、こればっかりは不可抗力だしな。
佳奈があいつに言い寄られないかが…心配だっ」

隣にいる佳奈を抱きしめる。

「あ…えっと…」

何を言っていいのかわからない。
すると、

「一之瀬も一緒だし、俺が迎えに行けるときは連絡するから。
何かあったらすぐ話せよ」

と言われ、赤面しつつ頷く佳奈だった。


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