先生のビー玉
教習が終わり、車庫から校舎へ戻ろうとしたときである。
メールの着信音が鳴った。

『今日も迎えに行くから』

と彼からのメッセージ。
先ほどのこともあり、ホッとしていると、

「あ、終わったんだ」

現実というものは厳しいなんて思う佳奈。
そう、孝司が話しかけてきた。
それも…あの竜太郎も一緒だ。
あっという間に取り囲まれる佳奈。

「次の授業あるから…」

かわそうとすると、

「そんな冷たいこと言わないで」

竜太郎が前に立ちはだかる。

「そんなんじゃなくて、本当のことなんだけど」

佳奈が言うが、孝司は…

「じゃ、一緒に受けちゃおうかな」

なんていう始末。

「ごめん…行かなきゃ」

チャイムが鳴りだし、佳奈は教室のほうへ行こうとした…が…
握られる手。

「ちょ…」

驚いて振り向くと、孝司がマジな顔つきになっている。
思わず硬直する佳奈。

「俺…マジなんだけど」

「そうそう、答えてやったらどうだろう?」

と竜太郎が言った時である。


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