先生のビー玉
「思い出し笑いですか?」

佳奈が言うと、

「いいや、前から思ってたけど、お前は面白い」

と彼が言うので、

「あまり言われたことないです」

そう言う。

「そうか?いやぁ、面白い。
あぁ~なんだか馬鹿らしくなった!
よしっ今日はもう止めた」

とペンを置く彼。

「そう言えば、神田は?」

「なんか部室に忘れ物をしたらしくて、取りに行っちゃいました」

「そうか」

「と、先生…絵里は大丈夫でしょうか?」

「ん?ほっとけ。
いちいち相手にしても仕方ないし、そんな二つの事を一挙にできる奴なんていないさ」

「まぁ…少なくとも私にはできません」

佳奈が言うと、また彼は笑っていた。

「俺だって、最後の競技会くらい連れて行ってやりたいよ。
けど、あいつにはやらなきゃいけない仕事があるんだし、それは自分で選んだことなんだからな」

大きく伸びをしながら言った。


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