先生のビー玉
そしてブラウスのボタンを閉めると…

「ほらっ、チャイム鳴るぞ」

「えっ?」

「時間、時計」

もう1時を指そうとしている。

「わっ、うそっ浩ちゃんは?」

「ん?俺は空き時間。
ちょっと寝る」

「ずるいっ」

そう言いつつ保健室を走り出る佳奈だった。
入れ替わるように入ってくる孝枝。

「一人でする?たまってるでしょっ」

「しませんっ」

「つまんない」

「そんな問題じゃないですっ」

彼が言うと、

「なにか問題でもあったんですか?
浮かない顔してますよ」

と孝枝が頬杖をついて彼を見ている。

「…いや、ライバル出現に手を焼いてるところですかね」

そう言うと、

「戸田は女の私から見てもかわいいですからね。
でも、こんなときに堂々と出ていけないのがネックってところかしらね」

そういう彼女の発言に大きく頷く彼。

「でもまぁ、それもあと2週間の辛抱ですよ」

という言葉に、

「そうですね。
場所借りてしまって申し訳ありませんでした」

そう言い、保健室を出て行った。
入口のほうを眺め…

「頑張れ、二人とも」

そう呟く孝枝だった。

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