先生のビー玉
外に出た二人。
誰もいない車庫で孝司が立ち止まった。

「話って何?」

振り返った孝司、やけににこやかだ。

「あのね、私…」

「どうせだから俺から先に言わせてもらおっと。
俺さ、佳奈ちゃんのこと会ったときから気になってたんだ。
付き合いって感じ?

好き…なんだ」


しばらくの沈黙。


「迷惑…かな?」


その沈黙を破るように彼が聞いてきた。


「め、迷惑とかそんなんじゃなくてね。
わ、私…申し訳ないけど、滝川君の気持ちに答えられないんだ」

「彼氏…いるから?」

「…そう。
私ね、彼のことずっと好きだったの。
好きだからこそ傷つけたくない。
だから、滝川君にも分かってほしい」

「じゃ、俺だったら傷つけてもいいの?」

「…」

言いたいことは言ったのだが…
逆に質問されて黙ってうつむく佳奈。

孝司が近づいてくるのも気づかずに…
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