先生のビー玉
自動車学校へ到着したが…

真っ暗で誰もいそうにない。

「帰った…か…」

そう呟きつつもう一度携帯を見る。

「どうしてかけてこない?」

苛立ちを通り越して不安になる。
とその時だ。

携帯が鳴り始めた。

「佳奈…

一之瀬?」

佳奈ではなく一緒にいたはずの一之瀬からの電話だ。

「もしもし」

「あ、先生?今大丈夫?」

「あぁ」

「あのさ、佳奈なんだけど…」

なにやら言いにくそうに言う一之瀬。
一瞬にして不安がよぎる。

「何かあったか?俺は何を言われても大丈夫だ。
言ってくれ」

そう言ったが…

「とにかく、佳奈は家まで送り届けたから。
佳奈はちゃんと言ったよ。
後は、先生の出番だから」

そう一方的に言い電話を切りやがった。




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