先生のビー玉
「だって、貴子の勉強に付き合ってたらいつもこの時間で…」

声が小さくなる佳奈。

「心配するだろうが」

頭を小突かれる。

「…ごめんなさい…っていうか…靴箱…暗い…」

電気をつけるが薄暗い程度だ。

「ほら、行くぞ」

「待って…」

思わず田村のスーツの裾をギュッと握る。
そんな仕草がそそられる田村…思わず顔がにやける。
佳奈のロッカーに到着し、靴に履き替える。
その時、少しだけ田村のいたずら心が動き出し…
フッと佳奈の首筋に息を吹きかける。

「ヒヤッ…嫌だっ」

ビクッと反応し、思わず田村にしがみついた。

「今、なんか…怖いっ」

泣き出す始末。

「大丈夫だって」

役得だと思いつつ、佳奈の背中をポンッと叩くと手を握り外へ出た。

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