先生のビー玉

田村が先生を呼んできたらしく、看護師が熱などを測り始めた。

「３８度５分です」

「そうか、少しは下がったね。
どう？気分は…」

「さむ…いのと…ずつう…が…」

やっとのことで答えると、

「雨の中で倒れていたから風邪をひいたようだね。
頭痛は、頭の怪我が原因なんだよ」

と言われ、絵里から受けた暴力のすごさを思い知らされる。

「あ…そっか…」

そう言いつつ、また目を閉じる佳奈。
別に寝たいわけではない。
とにかく頭が痛いのだ。

「相当辛いのね」

清美が呟く。
すると、

「ご両親にちょっとお話があるのですが、別室へお願いします」

医師が言うと、

「どうぞ、自分がついていますので」

田村。

「すみません…」

隆二が田村に謝ると、清美を連れて病室から出て行った。
また目をつぶってしまった佳奈を見る田村。

「痛かったろ…」

頭をそっと撫でる。