先生のビー玉
そして、思い出したように、

「あ、そうだ。
戸田、何かありました?」

池田が言う。

「は?」

「おかしかったんですよね。
求人票を持ってきたときは普通だったんですが、顔が真っ赤だったし、腕が上がらないって感じで。
あれじゃ、履歴書書けなかったんじゃないかなぁって」

と池田。

「いや、履歴書は書いてましたよ。
私の目の前で」

と初耳と言わんばかりに言う田村。

「でしょう。
まさにあの履歴書は戸田の字でした。
でも、ほら、ここの性別のところ。
変な丸印でしょ?
これが書けないほど腕が上がらなかったんですよ」

と不思議そうに池田が言っていた。

「明日にでも聞いてみましょう」

田村が言うと、

「ま、気にするほどの事ではないかもしれませんけど」

池田がそう笑って言っていた。

その時、田村はまさか絵里がやったとは思うはずがなかった。

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