先生のビー玉
「採点やってんのかね?」

貴子が準備室を見つつ呟く。

「そうかもしれないよ」

それを笑いながら見る佳奈。

「そう言えば…テスト…却ってくるんじゃない?」

「え?あぁ、そうだわ。
満点狙い?」

「いやぁ、近いものは狙ってます」

「自信満々で」

そんな会話をやっていると、

「佳奈、奴が呼んでるよ」

前に座っていた恭子が後ろを指さす。

「へっ?」

振り返ると、手招きをする彼。

「行って来い」

貴子が佳奈の右肩を掴む。

「っ…」

顔が歪む。

「あれ?ごめんそんなに強く掴んだつもりなかったっ」

貴子が謝ると、

「いいのいいの。気にしないで」

そう言い、準備室へ走って行った。

「相変わらず馬鹿力ね」

と恭子。
すると…

「やっぱりおかしい。
確かに馬鹿力だけど、佳奈に対してはそんなことしないし」

「…なんかあった?」

二人、顔を見合わせる。

「もしかして…」

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