先生のビー玉
彼の言った通り、彼のクラスになった。
誰よりも早く名前を覚えられたせいか、話す機会も多かった。
が…
長身のイケメンである。
手の届かない場所にある存在でもあった。

だから…

彼の顧問でもあるパソコン部に入部、毎日無欠席。
教科担の成績が良くなるように努力。

親友の神田貴子に呆れられるくらいだった。

「おい、聞いてんのか」

頭を小突かれる。

「聞いてる」

「でもよく出来たなぁ」

「褒めてくれるの?」

「まぁな。ほら、そろそろ帰るぞ。
もう7時だ」

時計を見ればもう7時。
帰宅時間である。
後輩達はあっという間に帰ってしまい、残ったのは彼と佳奈と絵里。

「帰るの…早すぎるし」

佳奈が言うと、

「確かに…じゃ、戸締り頼むな」

そう言われ、部室の戸締り確認をする。
それを終え、準備室へ向かうと彼と絵里が仲良く話している。

「お前も大変だよな」

彼が絵里に言う。

「先生ほどじゃないですよ」

と笑顔で言うが、どうして生徒会室ではなくここでやるのだろうか?と疑問に思うが…
まぁ、彼女が何をしようと誰も何も言わないのが普通だ。



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