先生のビー玉
無言で歩く彼。
小走りで後に続く佳奈。
まるで…あの入学式の日のようだ。

が…急に立ち止まる彼。

ボフッ

「いてっ」

思い切りぶつかってしまった。

「あ…悪い」

「す、すみません」

お互い謝る。

「先生、何か急いでます?」

そう言うと、

「戸田、お前…隙がありすぎ」

「隙?」

「そう、あのな、ココは男子校。
女子に飢えてんの。
だから、ああやって声をかけるんだぞ。
気軽に名前を教えるな」

といわれてしまった。

「はぁ…そう言うものなんですね」

佳奈が言うと…
小さなため息をついた彼。

「ま、昼飯食って午後の作業をやるぞ」

「あ、はいっ」

そう言いつつ、控え室にもなっている教室へ向かった。
到着すると…
お弁当を手に悩んでいる貴子。
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