先生のビー玉
「二重人格…」

ボソッと呟き職員室へ向かう。

「田村先生…」

ノックをして職員室に入ったが…
この時間まで残っている教師は…あまり居ない。

「いるわけないか…」

カギを所定の位置へ戻そうとすると、

「い~る~ぞ~」

と声だけが聞こえてきた。
驚いて振り向くと、ガサゴソと音が聞こえる。

「先生、カギを渡し忘れた」

そういいつつ彼の席へ行く。
遠慮なく隣の教師の椅子に座って言うと、

「あ、そうだったな。
て、手伝え。どうせ神田を待ってんだろ?」

「正解。剣道部ってさ、やたらに長いんだよね」

「まぁ、一人で帰るより安心だな。
あいつと一緒なら相手が逃げる」

「正解」

二人、笑う。
職員室で貴子を待つ時間、今までは部室で待っていた。
が、

「そんなところで待たなくても職員室で待て。
で、手伝え」

とある日そんな事を言われたのだ。

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