先生のビー玉

「ねぇ、佳奈ちゃん。
これ、５枚引いてくれる？席順」

その間に、箱を差し出される。

「先生、私が引いてもいいんですか？」

「ん？いいぞ。場所は、どこだっていいんだから
それ、持っとくから」

「あ、すみません」

記入する手を止め、栄養ドリンクを渡すように手を出す彼。
それを渡し、引き終えると、

「これ、なくしちゃダメだよ」

と彼女に言う孝司。
すると…

「滝川っ、他校生に油をうるなっ」

と一発殴られる孝司。
ブツブツと文句を言っていた。
そんな彼を見て笑っていると、

「ほら、控え室に戻るぞ」

今度は佳奈が小突かれる。
あわてて彼についていく佳奈。

「じゃね、佳奈ちゃん」

と孝司は言ったが…
聞こえていなかったようだ。
舌打ちをする孝司。

「ムリじゃねぇ？」

隣にいる生徒が言う。

「ムリじゃねぇ」

と孝司。

「どうみたって、あの教師、彼女に気があるよ。
お前が名前を呼ぶたびに手が止まってたもんな」

との言葉に…

「んなの分かってるよ」

そう言う孝司だった。