先生のビー玉
ある時は、彼の机の片付け。
ある時は、彼の話し相手。
ある時は、文章の入力。

「教師は忙しいんだっ」

と言いつつ、隣でタバコを吸っているのだが…

「職権乱用だよ」

と言いながらも貴子を待つ時間、有意義で幸せな時間が過ごせるというわけで毎日ここに来ている。
彼が要らないといった書類をゴミ袋に入れていると…

「戸田、コーヒー飲むか?」

机の中を掃除しながら言う彼。

「飲む」

そう言うと、冷蔵庫の中から2本持ってくる彼。

「他の先生の取ったんじゃないの?」

「わかんねぇよ」

と言いつつ飲み始める。
笑いながら飲む佳奈。
すると、

「就職どうするんだ?」

と質問される。

「わっ、現実的な質問だなぁ…
事務の仕事探してんだけどね、でもなかなか…
先生、なんかコネってない?」

「俺にコネ?
んなのあるかっ。
ちゃんと職業指導室行ってるか?」

「行ってるよ。
でもね、案外ないんだよね…
この女子高…就職率100%とか言ってるけどさ、あれウソだよ」

「はぁ?」

「だってさ、いまだに何人決まったよ?
うちのクラスだけでもまだ5人だよ~」

「このご時勢だからな…」

「なんとか頑張るよ」

「あぁ、でもお前だったら取ってくれる会社…あると思うがなぁ」

「そう?」

「あぁ、と俺は思うぞ」

彼がそう言った。
思わず顔を上げる。

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