先生のビー玉
「あ、佳奈ちゃんの前だ」

孝司がうれしそうに話しかけてきたのだ。

「あ…おはようございます」

佳奈が気負いしながら答える。
ふと立ち止まった彼だったが…そのまま池田の隣に座った。

「なにやってんの?あいつっ」

とジェスチャーをしながら貴子を見る恭子。

「わかりませんっ」

とジェスチャーで答える貴子。
一方孝司。

「ねぇ、佳奈ちゃんは部長さん?」

話しかけてる孝司。

「いえ、副部長です」

「じゃ、部長さんは?」

「忙しくて来れないんです」

「へぇ、大変なんだね。
あ、あのさ…いでっ」

孝司の後ろに立っていたのは…顧問らしい。

「前を向いとけっ。
なんなら席代わるぞっ」

と頭をたたかれる。

「いや、ここがいいです」

「じゃ、黙って前を向いてろ」

「はい」

それからは、話しかけてくることはなかった。
そして競技が始まる。

制限時間は90分。

早速解き始める佳奈。
はっきりいって…難しすぎる。
彼の言ったとおりだ。
だが、必死に解いた。
問題をよく読んで。
< 92 / 442 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop