先生のビー玉
解き終わった生徒から教室を退室する。
佳奈は気付かなかったが…
貴子は、始まって40分ほどで退室したようだ。
それから、恭子、由梨、由香と続いて退室。
佳奈が一通り解き終わった時は、60分を過ぎていた。

小さなため息をつく。

もう見直しは止めよう。
もう頭がいっぱいでなにも考えられない。
佳奈が席を立つ。

その後を追うように孝司が退室した。

廊下に出ると、貴子が声をかける。

「最後まで解いたの?」

と。

「解かなかったの?」

と言うと、

「だって、難しすぎるし、問題も長すぎるしさ、解けそうな問題だけ解いて出た」

と答える。

「難しすぎるよ…もういっぱいいっぱい。
見直す元気もなかったよ」

佳奈が答えると、

「それでいいんじゃない?」

そう言いつつ現れたのは…孝司だ。
うさんくさそうに見る貴子。

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