ツンデレ彼氏サマ
「紗耶香」
「……あっ…」
ぽんと肩を叩かれて振り返るとアリサちゃんがいた。
「次、教室移動だよ?はい、教科書と筆箱」
「ありがとー」
受け取ってもう一度後ろを見てみると宙くんは他のクラスの教室に顔を出して誰かと話していた。
…なんだ。
立ち止まったのは呼ばれたからか。
小さな期待をして損したかも。
「あ、成宮先輩じゃん。お昼一緒だったの?通りで探してもいないと思ったよ」
「えへっ、ごめんねっ」
友達と話している宙くんに背を向けてアリサちゃんと移動教室に向かった。
「アリサちゃんはさ、彼氏いるよね?」
「へっ…うん。いるけど」
「どんな感じ?優しい?一緒にいて恥ずかしいとか思う?」
どんどん詰め寄る私にアリサちゃんはストップをかけた。
「何、どした?先輩と何かあった?」
「いや、宙くんて…なんかクールじゃないのに冷めてるっていうか、恋人のはずなのに恋人みたいになれてない気がして…」
「優しくないって?」
「…わかんない。最近宙くんのことわかんなくて。さっきも教室にくんなって言われちゃったし」
あ、やば…。
なんか、また泣きそう。