ツンデレ彼氏サマ


私なんて、行き来処か行っちゃ駄目なんて言われてるのに。


真顔でだよ?冗談抜きで。


宙くんのは照れ隠しでも何でもない気がする…。



「だ、大丈夫だよ!成宮先輩はただクールなだけだと思うし」

「クールより冷たいだけな気がする」

「そんなネガティブにならないの〜、紗耶香」



ネガティブになりたくもなるよ…。


宙くんからは"好き"って伝わってこないもん。



「…はぁ……明日も無視されちゃうのかな」

「諦めちゃ駄目だよっ」

「だって…自信ないよ。もう…」

「…………あ。じゃあさっ!こういうのは?」



ん?


アリサちゃんが私の耳に顔を近づけて言った。


こそこそ話ってなんかこそばゆいよね。



「………それ、宙くんに効果あるのかな」

「やってみなきゃわかんないけど。試してみる価値はあると思うよ?」



あのクールっぽくて何にも興味を示さない宙くんに効き目があるかはわからないけど…。


少しでも私を見てくれるなら。


「…やってみます。」

「ガンバだよ!!」


小さな可能性を信じてみようかな。
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