雨のあとに
マサルドリアを出発してから数日が過ぎてようやく目的地の遺跡に到着した。本には「二匹の獣が守りし聖地」と書かれていて、入り口には神社にいる狛犬みたいに鳥のような猿のような不気味な石像が2体あった。石像に触れてみたけど何の変哲もないただの石像だ。

『二匹の獣ってコレ?』

ディーンに聞いてみると、石像を隅々まで観察して返事をした。

『そのようだ。だが、ただの飾りだろう。』

『アラ、そんなこと言ったらこの子達に失礼じゃなくて?』

いつの間にかあたし達の後ろに黒いコートを着た紫色の長い髪の女性が立っていた。ディーンはあたしの腕を引っ張ってその人から離れて剣を突きつけた。

『貴様は何者だ!?』

『ちょっと、そんな物騒な物を私に向けないでちょうだい。』

その女性が人差し指を振るとディーンの体が振った指と同じ方向に飛んで行った。

『ディーン!!』

あたしは直ぐに駆け寄ってディーンを抱き起こした。ディーンは強く壁に叩きつけられたみたいで、上手く動くことができなかった。その女性を睨みつけて叫んだ。

『どうしてこんなことするの?』

『先に仕掛けたのはそっちよ。』

『あなたのその格好・・・もしかしてヴィッセル達の仲間!?』

『仲間?ちょっと違うけど、そんなものかな。』

『まさかレインを連れ戻しに来たの?レインは絶対あなた達なんかに渡さない!』

『違うわ、私がココに来たのはあなたに会いに来たの。それにあの子なら今頃・・・ウフフ、何でもない。それよりアッチの世界に戻りたくてこんな所まで来たんでしょ?戻してあげようか?』

何を言ってるのこの人。目的が何なのか分かんないけど、帰る方法を知ってる?

『どうやるの?』

その女性は意地悪そうに笑って答えた。

『えー?どうしよっかな♪この子達を倒せたら考えてあげる。』

女性が指を鳴らして石像に触れると大きく吠えて動き出した!もう一体の石像に触れて2体の石像は台から飛び降りてこっちを向いた。

『あなた達も2人だからこっちも2体でいいよね?それじゃあ頑張って。ようい・・・はじめ!』

女性が嬉しそうに手を上げると石像たちが襲いかかってきた。
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