雨のあとに
一体の石像が鋭い爪をあたし達に振り下ろしてきた。するとディーンがあたしを突き飛ばして剣で受け止めた。けれど、石像はもう片方の腕でディーンを切り裂いた。

ディーンの体は宙を舞って地面に叩きつけられた。ディーンはお腹から喉の近くまで傷つけられ、沢山の血が流れてる。血を見て頭が真っ白になって立ち尽くしているあたしに黒いコートの女性が耳元で囁いた。

『いいの？彼、あんなに血を流してるわ。このままじゃあ彼死ぬわよ？』

「死」その言葉でハッと気づいてあたしは直ぐにケガを治そうと駆け寄ろうとした。けれどあたしの前に石像が立ちふさがった。

『どいて･･･どいてよ!!』

あたしの中で何かが爆発した。･･･それから何が起こったのか分からない、周りはアチコチ破壊されていて石像は２体とも粉々になっていた。そしてあたしの右手には出した覚えのない鍵の剣がある。

『な･･･に･･･コレ？』

あたしが困惑している側で黒いコートの女性が笑いながら立っていた。

『アハハ･･･、どうしたの？あなたがやったのよ。この子達を倒した後散々壊し回ったじゃない。とんだ暴れん坊ね♪』

『あたしが？そんなのウソよ、だって･･･こんな･･･。』

怖い、あたしはこんなことした覚えはない。それなのに手には何かを切ったような感触が残ってる。あたしは何者なの？あたしは･･･。

『それじゃあ、ご褒美にアッチの世界に戻してあげる。』

『ちょっと待って！』

ディーンに駆け寄って治癒術を使ってキズを治した。ディーンは気を失ったままだけど、血も止まって顔色も良くなった。本当ならディーンを起こして一緒に地球に帰るはずだけど、でもできない。だって今のあたしは今まで一番異常だから。ディーンには本当のあたしを知って欲しかったけど、こんなあたしは見て欲しくない。

『ごめん、ディーン。』

あたしはディーンの頬にキスをして黒いコートの女性の元に行った。

『あなた名前はなんて言うの？』

『マリアよ。それじゃあ行きましょう？』

返事はしなかった。だってあたしはこの人の仲間になったつもりは無い。
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