雨のあとに
泣き続けて、お父さんに怒ってそれでやっと落ち着いた。

『雨、大丈夫か?』

心配そうにあたしの顔を覗いてくるお父さんの顔がなんだか可笑しい。

『クスクス。もう、平気だよ。はぁ〜、なんか悩むの疲れちゃった。自分が人間だとか魔族だとか・・・ホムンクルスだとか。だけど大事なのはあたしがあたしだってことだよね?』

『そうだよ、雨が自分らしくいればみんな好きになってくれる。だって雨はこんなに可愛いんだから。』

『お父さん、自分の娘に可愛いって言わないで。』

お互いの顔を見ながら笑った。良かった、ちゃんと笑える。ちゃんと心から笑っていられる。だけどあたしには不安なことが一つあった。

『ディーン、あたしのこと嫌いにならないかな?』

『ディーンって誰だい?』

『あたしの婚約者。』

『何ーーーっ!?』

しまった!つい口が滑っちゃった。あわてて口を抑えたけど、時すでに遅し。お父さんはものすごく驚いていた。

『そんな話パパ聞いてないよ。ディーンって何処の誰なんだ!そんなことより雨はまだ15歳なんだよ?何が何でも早すぎる。パパは絶対認めないからね!!』

あちゃー、想像した通りメチャクチャ怒ってる。あたしはこの状況を話しを変えることで回避した。

『お父さん、その話しはまた今度説明するから。それよりあたしは魔王を封印した扉を開ける為に作られたんだよね?だったらレインはどうして作られたの?それにレインが持っている鍵は何?』

あたしがとっさに聞いた質問を聞いて急にお父さんの顔つきが変わった。

『もう一つの鍵だって!?そんな物があるのかい?』

『う、うん。ほら、あたしが持っているのとそっくりで石の色以外は同じだった。』

『そんな物があったなんて・・・。』

それからお父さんは考えこんだ。あたしはてっきりお父さんも知っていることだと思っていたから少し戸惑いを感じた。
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