雨のあとに
星の架け橋で辿り着いた場所はスゴく寂れた部屋だった。テーブルは腐って崩れているし、暖炉は炭だらけ。

ソファーなんかは元は緑色だったらしいけど、今はホコリで真っ白になっている。あたしはソファーのホコリを叩きながらお父さんに話しかけた。

『ゴホゴホッ・・・何なのこの部屋?メチャクチャ汚れてるし、人が住んでいる気配はないね。どうしてこんな所に出ちゃったのかな?』

お父さんはホコリを被った写真立てを拾い上げて、懐かしそうな顔をして答えた。

『ここは私が両親と住んでいた家だ。』

『そうなの!?けどずっと使ってないみたいだけど・・・。』

『私の両親が戦争で死んでしまってから一度も帰ってなかったからね。』

『そう・・・なんだ。おじいちゃんとおばあちゃん死んじゃってたんだ、会ってみたかったな。』

『そうだね、私も両親に雨を会わせたかったよ。』

おじいちゃん達に会えないのは本当に残念だった。胸に寂しさを感じながらあたし達は家を出た。家を出るとふんわりとした町並みが見えて、ハルクと似たような雰囲気を感じさせられる。

『お父さん、ここどこ?』

『ここはマサルドリアの南西にあるフラワイスという町だ。』

『ふーん、ここからマサルドリアまでは遠いの?』

『いや、馬で急げば1日で着くよ。』

お父さんは早速馬を買いに行った。だけど馬を買いに行く途中であたしは自分の立場を忘れていた。

人にジロジロ見られてやっと気づいた時には遅かった。あたしはマサルドリアの女王で、周りにはあたしに会いに来た人でいっぱいになった。

あたしは次々に挨拶をされたり、握手を求められたりして身動きがとれなくなっている所に町長さんがやって来た。

町長さんはぜひ家に来て歓迎させて欲しいとあたし達は無理やり町長さんの家に連れて行かれた。
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