雨のあとに
馬は速く走ってくれているけど、気持ちは焦るばかりでマサルドリアが遠く感じる。

なんでレインは暴れているの?あたしが無意識に暴れてしまった時は強い怒りが引き金になったけど、レインも怒っちゃったの?あたしはお父さんの背中をギュッと握りしめて、不安と必死に戦った。

お父さんはあたしの気持ちを察してくれて更にスピードを上げてくれた。夕日が沈む前にマサルドリアに着くことができた。

だけど、マサルドリアの様子を見たあたしの心は真っ暗になってしまった。

街のあちこちが壊されて、人が倒れている。そして城に行くとボロボロにされたレオン達と、エレットの首を掴んでたかだかと持ち上げているレインの姿があった。レインはあたしに気付いて嬉しそうに手を振った。

『あっ、お姉ちゃんお帰りなさい。』

あたしは震える体を抑えて声を出した。

『レイン、あなた何をしてるの?』

『お姉ちゃんが帰って来るまで退屈だったから遊んでたの♪』

『遊んでたって・・・あんなに人を傷つけるのを嫌がっていたじゃない、なのにどうして?』

『それは彼女が本来の姿に戻ったからだ。』

レインの後ろからヴィッセルが現れた。

『あなたね?あなたがレインに何かしたんでしょ!』

『俺は何もしていない。マリアはこう造ったんだ、レインも貴様もな。』

これが本当の姿?怪物みたいに暴れて壊すのが本当のあたし達だって言うの?

ウソよ!本当のレインはちょっと臆病で甘えん坊だけど優しい子だった、本当のあたしは今のあたしだ。
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