雨のあとに
あたしは鍵を剣に変えてヴィッセルに切っ先を向けた。

『あなただけは許さない。ヴィッセル、レインを取り戻すためにあなたを切る。』

『本当に理解力の低い奴だな。レインは自分の意志で我々側に来ていると言っただろ。』

『そんなの信じない!』

剣を両手で強く握りしめてヴィッセルに切りかかった。けれどあたしの刃はヴィッセルに届かず、レインに止められてしまった。

『なんで?どうして?』

『ヴィッセルが死んじゃったらマリアに怒られちゃうもん。そ・れ・に、お姉ちゃんを殺すのはあたしなんだから♪』

そう言ってレインはあたしを吹き飛ばした。あたしの体は地上すれすれを飛んで、壁に当たりそうなところでお父さんが受け止めてくれた。お父さんは壁にめり込んで苦しそうな顔をしている。

『お父さんっ!ごめんね、あたしのせいで・・・。』

『平気さ、怪我はないかい?』

『大丈夫、お父さんのおかげだよ。』

あたしがお父さんを抱き起こそうとしていると、レインがあたしの横にジャンプして来てあたしの腕を掴んでさっきまで立っていた場所に投げ飛ばした。

『ネーネー、もっと楽しく殺し合おうよ〜。』

『レイン、あたしはあなたを傷つけるなんてできない。だって世界でたった1人の姉妹なんだよ?』

『う、うるさい!あたしはお姉ちゃんを殺すって決めたんだから。』

レインはあたしの言葉で少し苦しそうな顔をした。あたしの声に反応しているんだ。だったらもっと話しかければ正気に戻るかも。

『あなたはもっと強いはずよ。ヴィッセルなんかに負けないで。お願い、もとの優しいレインに戻って。』

レインは頭を抑えて膝をついて叫んだ。

『うるさいうるさいうるさいうるさい、うるさーい!!』

レインが叫ぶとレインの周りが爆発したみたいに強い衝撃波が巻き起こった。近くに居たあたしやレオン達は吹き飛ばされ城のガレキに埋もれてしまった。
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