雨のあとに
やっとの思いでガレキの下から出た時にはレインの姿はなかった。あたしはただレインがいた場所を見つめているとガレキの下からレオン達が出てきて、カーダがあたしを見つけて駆け寄って来た。

『陛下〜、ご無事だったんですね。』

『ウン、カーダも無事で良かった。みんなは?』

カーダは辺りを見渡しながら答えた。

『レオンやエレットは軽傷ですみました。メリンダ様は今はマサルドリアを離れているので御安心を。ですが兵や民の中には重傷の者もいますし、それに・・・死者も出ています。』

あたしは言葉を失った。ただカーダの言葉を疑いながらもその現実を受け入れることしかできなかった。

『それより陛下はいつこちらにお戻りになったのですか?それに陛下と御一緒に来られた方はどなたですか?ディーンの姿も見当たりませんが。』

ディーンの名前を聞くだけで胸が苦しくなった。ディーンがあたしの正体を知ったらと思うと心が壊れちゃいそう。

『あの人はあたしのお父さんで、ディーンは・・・。』

カーダになんて言ったらいいのか分からず、言葉を探しているとカーダが先に声を出した。

『ディーン!なんだそんな所にいたんですか。』

ウソっ!?あたしが振り返るとそこには本当にディーンの姿があった。
< 114 / 201 >

この作品をシェア

pagetop