雨のあとに
涙が止まらない。あたしはみんなから離れ、木の下にうずくまって泣いていた。するとお父さんが近づいて来るのが見えた。あたしはお父さんに泣いていた事が気づかれないように涙を拭いて平然を装った。

『こんな所で何をしてたんだい?』

『別に、ただちょっと疲れたから休憩してただけ。』

『泣いてたんだね。』

お父さんにバレたと思って慌ててもう一度目を擦った。

『泣いてなんかないって。お父さんの勘違いよ。』

『雨は嘘をつくのが下手だね。目が真っ赤になっているじゃないか。』

ウソっ!?お父さんに言われて初めて自分の顔の状況を知った。誰にも泣いている姿を見られたくなかったけど、これじゃあ意味ないじゃん。

『お父さん、あたし決めた。レインを止める、魔王の封印を解かせない。だからこの国を出ることにした。』

『そうか、それでいいのかい?雨はこの国で女王として暮らすこともできるんだよ。』

『いいの、あたしはマサルドリアにいるべきじゃないの。それにレインはあたしにしか止めることは出来ないんでしょ?』

『すまない、本来なら私の責任なのに雨に負担をかけることになって。』

『家族を助けるのは当然でしょ。一緒にレインを迎えに行こ?』

『ありがとう、雨。』

それからあたし達は翌朝旅の準備をして街を出ようと門に向かった。
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