雨のあとに
それから数十秒後に人影が見えた。その人は馬に乗っていてどんどんあたし達に近づいてくる。近くに来るにつれてその人の顔が分かってきて、その人の名前を叫んだ。

『シーバーっ!?』

シーバーはあたし達の前で止まった。シーバーの格好はまるで旅人みたいに準備された格好だった。

『シーバーなんで来たの?』

『もちろん陛下に御一緒する為です。』

『ちょっと待って。あたしは女王は止めるって言ったじゃない。聞いてなかったの?』

『聞きました。ですから私もマサルドリアを出たのです。私は陛下の為なら何処へでもついて行く所存でございます。』

『何言ってるの!?あなたはマサルドリアに仕える身なんだから城に戻って!』

『いいえ、私は陛下に仕える身です。それが私の存在する意味なのです。』

あたしがもう一度帰ってと言おうとしたらお父さんがあたしの肩を掴んで言った。

『いいじゃないか彼、シーバー君だっけ?一緒に来てくれると言ってくれているんだから。』

『でも・・・。』

『彼は雨と一緒に居ることが存在の意味だと言った、それがどれほどの決意か分かるだろ?それに私たちだけではレインを追うのは難しい。彼に協力してもらおうよ。』

『陛下、お願いします。』

お父さんはあたしを気づかって言ってくれてるのは分かるし、シーバーの気持ちも嬉しい。

『分かったわよ。けど、絶対ムチャはしないって約束してよ?それと陛下って呼ぶのも無し!』

『ありがとうございます、アメ様。』

アメ様って・・・まぁいいか。あたし達はシーバーを加えて再びレインを追って進み始めた。
< 121 / 201 >

この作品をシェア

pagetop