雨のあとに
『あのね・・・夢を見たの、怖い夢。あたしがたくさんの人を殺してしまうの、その中にお父さんやシーバー達も。ただの夢だって分かってるけど、だけど怖いの。あたしが誰かを傷つけるんじゃないかって。どうしよう、もしお父さん達を傷つけちゃったらあたし耐えられない!ねぇ、何であたしは急に意識を無くして暴れちゃうの?』

『雨が自我を無くしてしまった時は普段とは比べものにならない程の魔力を感じる。だから雨の心が魔力に堪えきれず暴走してしまったんだ。そして暴走のきっかけはある感情が強く表に出た時になる、その感情というのが怒りだ。雨がすごく怒ったときに魔力が溢れ出してしまうんだよ。』

『だからあんな事になったの?じゃあレインは?レインは暴走って感じはしなかったけど。』

『レインの場合は暴走して自我を失ったところをマリアが操っているんだ。』

『そうなの!?じゃあどうすれば元に戻せるの?』

『あの術は術をかけた本人を倒さない限り解くことはできない。つまりマリアを倒すまでレインを元に戻せない。』

『・・・もしあたしが暴走したらレインみたいに操られるの?』

『・・・そういう事になるね。』

『そんな、もしそうなったらどうしよう。』

『安心して、もし雨が暴走しても私が必ず止めてみせる。マリアなんかに操られせはしないよ。』

お父さんの言葉は不思議と信じることができた。けれどあたしは自分に絶対に怒らないと誓った、そうすれば暴走しなければ誰も傷つけることはないんだから。
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