雨のあとに
あたし達はレインの居所を探す為には少しでも良いから情報が欲しかった。黒髪に黒い瞳の魔族がいたら人間の領土では直ぐにウワサになるとシーバーが言った。

その証拠にあたしが初めてヴァーンに来た時もあっという間にあたしの事が知れ渡ったらしい。だから色んな国の情報が集まると言われる貿易国のガサットに来た。

ガサットとは商業の中心とも言われる国で人も物も物凄い数だ。アチコチにお店があってガサット自体がお店って感じがする。色んな国から商売や買い物に来る人がいるから色々情報が集められそう。

早速情報収集を開始したけど、なかなかレインに関する情報は見つけられなかった。ガサットに来てから3日目の今日も何の収穫も無いまま宿に戻った。お父さんはあたしより先に戻っていて、食事の準備をしてくれていた。

『ただいま〜。』

『やあ、お帰り。その様子じゃあ今日も駄目みたいだね。』

『アタリ、こんなんで本当にレインを見つけることなんて出来るのかな?』

『まだ3日目じゃないか、焦らず地道にがんばろう。ほら、雨もお腹がすいているだろ?シーバー君はまだだけど先に頂こう。』

確かに焦っても何も始まらない、あたしはお父さんの言う通りご飯を食べた。食事も終わり片付けをしているところにシーバーが帰って来た。

『只今戻りました。』

『お帰りなさい、遅かったのね。先にご飯食べちゃったの、ごめんね。』

『お気になさらずに、そんなことより少し気になる話を耳にしたのですが。』

『レインのこと何か分かったの!?』

『いえ、レイン様と関係は無いと思いますが近頃人間たちの間で妙な噂が流れているみたいなんです。』

シーバーが聞いたウワサって言うのは魔族がすごい兵器を手に入れて再び戦争を起こそうとしているというものだった。
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