雨のあとに
何で？どうしてそんなウワサが流れたの。だってマサルドリアはまだ立て直していないし、それに兵器なんて持ってないわ。

お父さんは「気にすることない」って言っていたけど、ガサットのアチコチでこの話を耳にするようになった。

それでも気にしないようにして、レインのコトを聞いて回って今日は最後に街の酒場で２人組みの商人に聞いてみた。

『黒髪に黒い瞳の魔族？』

『はい、どこかでウワサだけでも聞いたことありませんか？』

『ああ、知ってるよ。』

『本当ですか!?』

『あんた知らないのか？２・３日前に東の王国ファランが双黒の魔女に壊滅されそうになったんだぜ。』

あたしはその話を聞いてすぐに酒場を飛び出してお父さんたちの所に走った。勢いよくドアを開いたからお父さんとシーバーも驚いていた。

『ハァハァ、良かった。２人とも居たのね。』

膝に手をついて荒く呼吸をするあたしにお父さんが駆け寄ってきた。

『どうしたんだ、何かあったのかい？』

『大変なの、レインが･･･レインがファランって国を襲ったって。』

『何だって!?』

あたし達は直ぐにファランに向かった。運が良ければレインは近くにいるかもしれない。だけど今は犠牲者が少ないようにと祈ることしかできなかった。また誰かが不幸になっている、やっぱりあたし達は生まれてくるべきじゃなかったのかな？
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