雨のあとに
あたしはファランの国に着いたとたんに気分が悪くなった。ファランの街も城もボロボロでまるでマサルドリアの惨劇を再現しているかのようだった。

馬を茂みに隠して街に入った、街の門は破壊されていて門番もいないみたい。だけど、街を間近に見るとよけいにヒドい有り様で2・3歩街を歩いただけで立っていられないぐらい気分が悪くなった。

『雨っ!?どうしたんだ?』

倒れ込んだあたしをお父さんが直ぐに抱き起こしてくれた。

『大丈夫、ちょっと目まいがしただけ。』

『ですが顔色がわるいですよ、少し休まれた方がよろしいのでは?』

心配そうにあたしの顔を覗くシーバーに申し訳ない気持ちになった。

『ダメよ、早くレインを探さないと手がかりもなくなっちゃうかもしれないじゃない。』

あたしは力を振り絞ってお父さんの支えてくれている手から離れて立ち上がったけど、また直ぐに膝をついてしまった。

『ほら、やはり休んだ方が良い。立つこともできないじゃないか!』

お父さんは少し怒りながらあたしを抱き上げて、人目のつかない所に移動した。

『ここで少し横になりなさい。』

『でも、レインを・・・。』

『無理をするんじゃない。』

『でも・・・。』

ワガママを言うあたしにお父さんは深いため息をついて困った顔をして言った。

『仕方ない、レインのことは私とシーバー君とで手分けして調べるから雨はここで休んでいるだよ?』

お父さんやシーバーも疲れているのに、自分だけ休んでいるなんてできない。って思ったけど、これ以上2人を困らせたくなかったから頷いて横になった。お父さんとシーバーは優しく微笑んでから立ち上がって、街のガレキの方へと消えて行った。
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