雨のあとに
さてと、どうしよっかな?誤解は話をすれば解けると思うけど、もしも話が通じない場合を考えたらどうにかしてここから抜け出さないと。ここは本当にどこなの?まるで違う世界にきたみたい。

外が騒がしい、まるで大勢の足音が近づいて来るような。その音がだんだん大きくなってきたと思ったら凄い勢いで扉が開いた。そして赤い鎧を着た兵士みたいな人が大勢入ってくる、あたしはあっという間に囲まれてしまった。

『あの・・・あたし、ナニがなんだか。あなた達誰なんですか?』

兵士は何も答えてくれず、あたしは腕を掴まれ引っ張られた。

『いや、やめて!』

『黙れ、魔女め!!』

また魔女、この人たち本気であたしのこと魔女だと思っているの?もしかしてあたしは中世のヨーロッパにでもタイムスリップしちゃったのかな。そうだったらあたしは火炙り?まさかね。あたしはまた両手を縛られ鉄の檻に入れられた、そして檻は兵士に囲まれ二頭の馬に引かれて進み出した。

広い草原のような場所を通り過ぎ、森を抜けてまた草原に出た。檻に閉じ込められて何時間経ったのかな?時間が経つにつれあたしの不安は深まるばかりで、怖い。助けて、お父さん。

『あの、あたしこれからどうなるんですか?』

『魔族の不法入国は大罪だ、裁判が開かれ裁かれる。まあ運が良くて奴隷だな。』

『そんな、あたし人間です。』

『その双黒で何が人間だ。双黒の者は強力な魔力を持つ魔族だと聞く、けれど本当に実在するとはな。双黒の魔女か、俺も見るのは初めてだ。』

双黒の魔女、それがあたし。やっぱりここはあたしがいた世界とは別の世界、だってそうでもなきゃ説明できない。黒髪ってだけでこんな目に合うはずない、あたしは魔女じゃない人間よ。
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