雨のあとに
どうにか逃げようとしても、あたしを縛り付けている鎖はどんなに力を入れても外れなかった。どうしようかと考えていると王冠を被った女の人が話しかけてきた。

『私はこの国の女王、ランジュです。あなたは何故我が国を襲ったのですか?我々はあなた方魔族とは争う理由も、攻撃される理由もありません。』

ランジュさんはとても凜とした声で喋っている。落ち着いた態度で話しているけど、ランジュさんが怒っているのが分かった。

『答えなさい!あなたの所為で罪のない人々が傷つき、命を失いました。理由があるなら聞かせてください。』

理由…なんて知らない。だけど、原因はあたしだ。あたしがレインを止められなかったから沢山の人が傷ついたんだ。

『…ごめんなさい。』

そう言うことしかできなかった。するとあたしの額に石があたって、次々に石が飛んできた。

『ふざけるな!』

『謝れば許されると思ってんのか?』

『悪魔!!』

『あの人を返してよ。』

みんなから怒り、悲しみ、色んな言葉をぶつけられる。胸が苦しくて潰れそうになるけど、あたしには返す言葉もなかった。

『静粛に!みなの気持ちは分かるが今は女王様の言葉を聞け。』

ランジュさんの隣にいた貴族みたいな格好の中年男性がみんなを黙らせた。男の人は静かになったことを確認してからランジュさんに頭を下げて、一歩後ろに下がった。そしてランジュさんが一歩前に出て話した。

『ごめんなさいとは理由がないと言う意味ですか?それとも言えないということでしょうか。どちらにせよ、あなたを許すことはできません。』

そう言うとランジュさんは右手を上げた。そして兵士達が弓矢を引いていつでも撃てる態勢になった。
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