雨のあとに
ランジュさん達は突然現れたお父さん達と子供の様に泣いているあたしを見て呆然としていた。今なら話を聞いてもらえるかもしれない。あたしは涙を拭いて、動くたびに痛む身体をお父さんに支えられながら立った。

『みんな、あたしの話を聞いてください!』

そしてランジュさんとファランの人々にあたしが知っていることを全て伝えた。だけど、ファランの人たちは疑いの声を上げて「殺せ」という声も聞こえた。やっぱりいきなり「あたしは双子でレインは悪い人に操れている」なんて信じてもらえないよね。

『静まりなさい!』

鋭く、大きなランジュさんの声で辺りは一瞬で静かになった。

『どうやら私たちは勘違いをしていたようですね。あなた方には失礼なことをしてしまって申し訳ありません。誰かあの方の傷の手当てをお願いします。』

近くにいた兵士は少し戸惑っていたけど、ランジュさんがもう一度同じ事を言うと直ぐに動いてあたし達はお城の中に通された。

お城の中は外から見たより中は壊れていなくて、問題なく使えるみたい。気づいたらあたしは沢山のケガ人のいる救護室で緑色の服を着た女性に手当てをしてもらっていた。なにがなんだか分かんない、お父さんとシーバーも同じように困った顔をしている。

一通り手当てを受けた後、さっきの兵士が来て客室のような部屋に案内された。兵士は頭を下げて部屋を出て行き、部屋にはあたしとお父さんとシーバーの三人だけが残された。

『お父さん、これってどういう事?』

『分かってくれたって事じゃないかな?』

お父さんは緩んだ顔をしている、あたしもきっとスゴいマヌケ顔になってる。だけど、シーバーだけは険しい顔をしていた。

『御二人とも油断なさらぬように。人間たちの罠かもしれません。』

やっぱりシーバーは人間を信じてないんだ…なんか悲しいな。だけど、きっとシーバーが正しいんだと思う。

誰かを信用しすぎると騙されて…殺される。あたしは今そういう世界にいるんだから。あたしはギュッと唇を噛んで気を引き締めた。
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