雨のあとに
あたしは大きな教会のような洋風の建物に連れて行かれた。檻からから出され建物の中に入った。中は薄暗くて奥に祭壇のようなものがあるだけで、誰もいない。地下のような場所に降りて牢屋に入れられた。檻の次は牢屋、もう疲れた。疲れたよ、お父さん。あたしの瞳から涙が溢れ頬を濡らした。

どうしてこんな事になったのかな?あたしが何か悪いことしたの?お父さん、お父さん!お父さんに逢いたい、なんであの時お父さんの手をしっかり掴まなかったんだろう。どうしよう、このままお父さんに会えなかったら。そんなのイヤ、泣いている場合じゃないわよ雨!泣いてたって仕方ないじゃない。何が何でも元の世界に帰ってみせる。

きっとここにいたらダメ、なんとか抜け出さないと。試しに鉄格子を揺すってみた。無駄だと分かっていてもやっちゃうんだよね、窓は頭が入るぐらいの小さいのが一つあるだけ。絶望的かぁー、諦めそうになった時一人の兵士が近づいてきた。ガチャガチャと何をしてるかと思えば牢屋の鍵を開けてくれた。

『あの…どうして?』

『静かに。安心して下さい俺はあなたの味方です。』

『味方って・・・』

『詳しい説明は後で。とにかく今はここから逃げましょう。』

今はこの人を信じるしかない、あたしは彼について牢屋から抜け出した。建物から出た後近くにいた馬を一頭盗んで脱獄に成功した。
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