雨のあとに
一瞬強い光が辺りを照らし、目の前が真っ白になった。ギュッと瞳を閉じて、ゆっくり目を開けた。

するとアタシは橋の上じゃなくて、いつか夢で見た白と黒の薔薇が咲く不思議な花園に立っていた。そして大きな扉がある。扉の前に人影が見える、あれは…

『レイン!!』

あたしが名前を呼ぶと、俯いた顔を上げてレインは弱々しく微笑んだ。

『お姉ちゃん…。』

そこには操られる前のレインがいた。元に戻ったんだ!なんで?どうやって?ううん、理由なんてどうでも良い。

レインが戻ったんだ、アタシは直ぐにレインを抱きしめに駆け寄った。けれど、あたしとレインの間に見えない壁があって、レインどころか扉にさえ近づけない。

『なんで!?前はこんなことなかったのに。』

『あたしがしたの。お姉ちゃんが扉に近づけないように。』

『どういうこと?』

『この扉の先に魔王がいるの。』

『えぇ!?』

『だからお姉ちゃんが扉に近くと、魔王に取り込まれて大変なことになる。』

『そんな…。だったらレインも危ないじゃない!』

『あたしは平気。お姉ちゃんと離れる前は、ずっとこうしてたみたいだから。けど、前よりずっと抑えられなくなってる。…あたしが封印を解いたから。ごめんね、お姉ちゃん。』

『何言ってるの?レインの言ってること、よく分かんないよ。』

『すぐ分かるよ。お姉ちゃん、生きて。ちゃんと生きてね。最後まで迷惑かけてゴメンナサイ。』

そう言ってレインはガクンとまた俯いた。

『ちょっと待って!最後って何言ってるの!?』

レインの返事が聞こえることなく、辺りの風景は光の中に消えていった。
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