雨のあとに

あれから一週間が過ぎた。あたしは独りカカロンを離れて、西の大陸にあるクセリアという人間の国に来ていた。

あれからどうしたら良いのか分からず、カカロンにたまたま来ていた船に忍び込み、船が着いた場所がクセリアだった。

生きているのが嫌になる、怖くて…苦しくて…悲しくて…。生きているのがこんなに苦しいなんて。何故アタシは生きているの？大勢の人を苦しめて、レインとアレクまで殺してしまったのに。

そうよアタシは生きているべきじゃない。首に掛かっていた王の鍵を外して、剣に変えた。そして剣先を自分の心臓に向けた。死ぬ瞬間になって、あの人のことを思い出した。ディーンとの思い出が次々に溢れ出してくる。

ディーンの笑顔が好き、ディーンの優しい目が好き、ディーンの頼もしい腕が好き、ディーンの全てが大好き。どんなに離れてもあの人ことがこんなにも好きだなんて。

それでも、どんなに愛してもアタシはディーンの側にいられない。魔王はこの世界にあってはいけないの。だからアタシは死なないといけない。

『みんな、ごめんね？』

深く深呼吸をしたあと力いっぱい自分の心臓を貫いた。