雨のあとに
アレが!?だって顔も姿もアタシと同じじゃない!…そっか、アイツはアタシ。そういう意味だったのね。魔王とアタシは一心同体って訳か。魂だけじゃなくて、この体も魔王なんて…。本当に最低。

あたしは魔王、だから死を選んだ。そうよ、あたしは死んだ。じゃあここは死の世界?

『レイン…、あたしは死ねたの?』

レインは弱々しい首を横に振った。

『お姉ちゃんは死んでない。というより死ねないんだよ。』

『どうして!?』

『魔王の強大な魔力がお姉ちゃんを死なせないの。』

『なんでよ!!魔王はどこまであたしの邪魔をすれば気が済むの?あたしは死にたいの、死ななくちゃいけないのよ。』

ぶつけようのない怒りを吐いくあたしに、レインは悲しそうに微笑んだ。

『あたし、今回だけはお姉ちゃんが魔王で良かったって思った。魔王じゃなかったらお姉ちゃんは確実に死んでた。お姉ちゃんは本当に死にたいの?』

『…生きてられる訳ないじゃない。沢山の人を傷つけて、あなたまで死なせてしまったのよ?』

『お姉ちゃんが悪いんじゃない!…もし、そうだったとしても罪は生きて償うものよ。だから、生きて!逃げないで生き抜いてよ!!』

分かんないよ。そうだとしてもどう償えば良いの?レインの言葉になにも言い返せないまま、あたしは俯いた。すると、信じられない光景が目に飛び込んできた。レインの足が光の粒になって消えていた。

『ど、どうしたの!?足が、身体が消えてる!』

『ごめん、もう限界みたい。あたしにはこれ以上魔王を抑え込む力は残ってないみたい。』
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