雨のあとに
レインの身体はすでに膝の辺りまで消えてしまっていた。

『イヤよ!!レインがまた消えるなんてイヤ!』

『大丈夫、あたしは消えるんじゃない。お姉ちゃんの一部になるの。だから、魔王に負けないで。魔王の魂はお姉ちゃんの魂でもあるんだから、絶対譲っちゃだめよ。お姉ちゃんが魔王の力を使えるようになるの。それがお姉ちゃんが生きる為に必要なことだから。』

レインの身体は既に首まで消えてしまった。

『最後にコレだけは覚えていて。お姉ちゃんは魔王であると同時にお姉ちゃん自身でもあるんだからね。』

消えていくレインにあたしは泣き叫んだ。

『なにそれ?意味分かんないよ。お願い…消えないで。』

レインは困った顔で笑った。

『幸せになってね?』

レインの身体は完全に光の粒となって扉の中へ消えていった。

『イヤー、イヤよ。返して!レインを返して!!』

レインを取り戻そうと何度も扉を叩いた。だけど扉を叩く音が虚しく響くだけだった。あたしは無駄だと分かって、レインを失った悲しみで崩れるように座り込んだ。

すると扉がゆっくりと開いた。扉の向こうには底無しの闇が広がり、何も見えなかった。力無く見つめていると、バッと腕が伸びてきてあたしの腕を掴んだ。そしてあたしは扉の中に引きずり込まれ、更なる闇の中に落ちていった。
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