雨のあとに
メルさんが食事を用意してくれている間にウッドさんが帰って来た。とりあえず簡単な挨拶とお礼を言って、一緒にメルさんの料理を頂いた。

『ご馳走さまでした、とっても美味しかったです。』

『お粗末様でした、それじゃあ私は片付けてきますね。』

『あ、あたしも手伝います。』

『ちょっと、待って。アメには聞きたい事が幾つかある、ここに座ってくれ。』

メルさんの手伝いをしようと立ち上がったら、ウッドさんに呼び止められたので同じ場所に座った。

『聞きたい事って何ですか?』

『まず一つ、どうしてあんな所で血まみれで倒れていたんだ?』

『…死のうと思ったんです。だから自分の胸を刺して、自殺しようとしました。』

『自殺っ!?何でそんなことを?』

『自分がこの世界にいてはダメな存在だと思ったから。でも今は違います、生きてあたしに出来ることをしたいと思ってます。』

『そうか、それは良かった。俺はてっきり村の奴らにやられたのかと思ったよ。それじゃあ二つ目だ、あんたは何でクセリアに来たんだ?』

『特に理由は…。たまたま乗った船がクセリアに停まったので。』

『じゃあクセリアに用がある訳じゃねぇんだな?だったら早くこの国から出て行った方が良い。』

『どうしてですか?』

『あんたは知らないかもしれねぇが、南の国カカロンが魔族によって滅ぼされたらしい。』

ウッドさんの言葉を聞いてショックで息が詰まり、口を覆った。あたしの所為だ、あたしの所為でカカロンが…。
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