雨のあとに
自分がマサルドリア国王だったこと、魔族でも人間でもないホムンクルスだということ、そして魔王だということを全て話した。

話し終えた後、ウッドさん達の顔を見るのが恐かった。マサルドリアの人達のように瞳に恐怖が現れ、あたしを化け物だと思うんだろうな。

『辛かったろうに。』

ウッドさんの思いもよらない言葉に驚いて顔を上げた。ウッドさんは険しい顔をし、メルさんはうっすらと瞳に涙を浮かべ、ケントはよく意味が分かってないらしくニコニコしていた。

『あたしが怖くないんですか?』

回りくどい言い方をせず、直球に聞いた。ウッドさんは真っ直ぐあたしの瞳を見て答えてくれた。

『俺は外見や生まれで人を判断しない。自分が見て聞いて感じたモノを信じる。アメが何者であろうと、俺の目の前にいるお前は悪い奴ではない。』

『大変だったわね?一人でずっと頑張って、本当にアメちゃんは良い子ね。』

『ボクね、お姉ちゃんが言ってることよく分かんないけど、お姉ちゃんのこと好きだよ。』

この人達はあたしを分かってくれた。それが嬉しくて、あたしはボロボロ泣き出してしまった。メルさんがあたしを抱きしめ、ケントはメルさんと一緒に頭を撫でてくれた。

こんな優しい人達に出会えて本当に良かった。あたしはただありがとうと言うことしかできず、泣き続けた。
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