雨のあとに
落ち着いてきた時にウッドさんが再び話始めた。

『アメの事はおおよそ理解できたが、お前はマサルドリアに帰るべきだと思う。』

『でも、あたしは国王は辞めちゃったし、それに今更どんな顔をして帰ったら良いのか…。』

ウッドさんは情けない顔をして俯くあたしの頭を軽くコツンと叩いた。

『馬鹿やろう、国王ってのはそんな簡単に辞められるもんじゃないだろ。お前が勝手に辞めたと思ってるだけじゃないのか?』

『え?でも…。』

『それに今、人間と魔族の間で争いが起きようとしている。王が居なければ誰が国をまとめるんだ?不安定な国程潰れやすいもんはない。』

『そんな…。』

困って更に俯くあたしにメルさんが優しく語りかけてくる。

『私、戦争を止められるのはあなたしかいないと思う。だってあなたは誰よりも痛みが分かる人だもの。お願い、戦争を起こさないで。戦争が起これば昔みたいに大勢の人が傷つく、そんなのもう見たくないのよ。』

あたしは自分に誓った。自分にできることをする、その為に生きていくんだと。

『分かりました。あたしにどこまで出来るか分からないけど、マサルドリアに帰って頑張ってみます。』

ウッドさん達が大きく拍手をしてくれた。それは少し照れくさかったけど、とても励まされることだった。

それから直ぐに出発ってはいかず、体が回復するまでもう少しウッドさん達にお世話になることにした。
< 152 / 201 >

この作品をシェア

pagetop