雨のあとに
2人は酷い火傷をしていて、ピクリとも動かなかった。

『ウッドさん…。』

声を掛けてもウッドさんは何も反応しなかった。

『あの…。』

『悪いが…少し…1人にさせてくれないか?』

ウッドさんの言うとおりにして、あたしは森の入り口近くまで走った。何度も木に頭を思い切りぶつけた。何も言えなかった。優しい命が2つ消えてしまったのに、あたしは何もしてあげられなかった。全部、あたしの所為なのに。あたしがここに来たから2人が死んだんだ。

『うわああああっ!!』

あたしは叫んだ。涙が枯れるまで泣き、声が出なくなるぐらい叫んだ。また大切な人を失った。

『何で!?何であたしは生きてるのよ!関係の無い人まで巻き込んでまで何で生きてるの?死にたい、死んでしまいたい!誰も傷付けないように消えてしまいたい!!』

『それは無理だろうな。お前が消えたら少なくとも俺は悲しい。』

振り返るとずぶ濡れのウッドさんが立っていた。

『ごめんなさい、ごめんなさい。あたしが居たからメルさんとケントが…。』

『アメの所為じゃない。頼むから死にたいなんて言わないでくれ、これ以上大切な人を失うのは…辛すぎる。』

ウッドさんはこんなあたしを大切だと言ってくれた。ごめんなさい、簡単に死にたいなんて言ってごめんなさい。

『あたし、何もできなかった。』

『そんなこと無い、アメは俺達の為に戦ってくれたじゃねぇか。』

『でも…。』

『頼む、今は一緒にコイツらの為に泣いてくれ。』

ウッドさんは声を殺して泣き続けた、空から降る雨と一緒に。
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