雨のあとに
ウッドさんはどこか遠い所を見つめるように空を見上げていた。きっとメルさん達のことを思い出しているんだろうな…。

『あの、ウッドさん。』

『うん?何だ?』

『メルさんとケントのこと話してくれませんか。』

『構わないが…急にどうした?』

『2人とは数日しか一緒にいられなかったから、2人のことをもっと知りたいんです。ダメですか?』

『ありがとよ。それじゃあ、何から話すっかな…』

メルさんと出逢った日のことやケントが生まれた日、沢山の話をしてもらった。

あっという間に時間は過ぎて、もう船乗り場に着いてしまった。そしてウッドさんとのお別れの時間となった。

『ウッドさん、本当にお世話になりました。』

『良いってことよ。アメ、気をつけて行けよ。』

『はい…あたし、皆さんのことが大好きです。何があっても2人のことを忘れません。』

『ああ、俺達もお前のこと気に入ったぜ。これからもずっとな。』

船に乗る時間となり、船に乗って窓際の椅子に座った。船が進み出し、ウッドさんが少しずつ小さくなってゆく。

『アメーっ!!お前に出会えてよかったぜ!』

ウッドさんが大声で叫ぶ、あたしも負けないぐらい大きな声で叫んだ。

『あたしも逢えて良かった。また逢ってくれますか?』

『馬鹿野郎っ!!当たり前のこときくな。』

嬉しくて涙が出てきた。生きていこう、あの人達の為にも一生懸命生きてていこう。そう心に誓いながらマサルドリアに向かった。
< 158 / 201 >

この作品をシェア

pagetop