雨のあとに
フォーラムさんの言葉にカーダが食ってかかった。

『ケスクライブ、前国王とはどういう意味ですか?ここに居られるのは現国王アメ陛下ですよ!』

『はて?私はアメ殿は国王の座を辞退したと耳にしたのですがな。』

『王というものを辞退することなどできません。』

『そもそもアメ殿に国王を名乗る資格など無いのでは?魔族でもない、作り物に我々の王を名乗る資格など無い!』

『なんだと!?』

フォーラムさんの言ったことにディーンが怒って殴りつけようとした。

『ダメっ!!暴力はダメよ。』

あたしはディーンの腕を掴み必死で止めさせた。ディーンの肩をポンと叩いて、レオンがディーンとフォーラムさんの間に立った。

『フォーラムさん、今の失言は聞き捨てなりませんね。アメ陛下は俺たち全員が認めた国王ではありませんか。』

あたしが知っているレオンとは違い、今のレオンは少し怖い感じがした。フォーラムさんはレオンに一歩引かずに言い返した。

『認めたのではない、騙されたのだ。そもそもアメ殿が持つ魂は国王のものではない、魔王の魂ではないか。その国王の魂も今となっては何処にも存在しない。よって今、我々に王は存在しない。新しい王を決めるべきなのだ。』

レオン達は更にフォーラムさんと言い争いとなり、会議どころではなくなった。そして争いの元であるあたしは何も言えず、ディーンの後ろに隠れているだけだった。
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