雨のあとに
あれから一週間が過ぎた。問題は解決することなく増える一方だった。あたしは自分(というよりディーンとあたし)の部屋の窓から街を眺めた。

街の穏やかな雰囲気は消え去り、暗い空気が満ちていた。国王の問題から国民も分裂してしまい、ケンカが起こることもあった。

悲しみが満ち溢れる街を見ているところにディーンが部屋に入ってきた。ディーンは疲れた顔をして椅子に座り、机に肘をついて目頭を摘んだ。あたしはそっと近寄り、ディーンの隣に立った。

『ディーン、お疲れ様。』

『ああ、すまない。国王着任の問題はまだ時間が掛かりそうだ。』

『…そう、ごめんね。あたしのせいで問題ばかりだね。』

『アメの責任ではない、気にするな。』

気にするよ、全ての原因はあたしなんだよ?って言いたいけど、弱音を吐くのは止めるって決めたんだから。

『あたし何か飲み物もらってくるね。』

窓から離れて部屋を出ようとドアに向かった。ディーンに背を向けた時、声を掛けられた。

『アメ、自分を攻めるな。』

ディーンに心を読まれた気がしてドキッとした。

『な、何言ってんの?そんな事ないって。』

ディーンに笑い掛けながら振り向いた。

『嘘をつくな。今にも泣きそうな顔をしているではないか。』

ふっと横にある鏡を見ると辛そうに笑うあたしが映っていた。
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